朝、カーテンを開けると、外は一面の雪景色だった。 昨日の夜は、久しぶりに目を覚まさなかった。それだけ深い眠りについていたということだろうか。 受験勉強のストレスもそろそろピークに達しそうで、毎日自分の神経が石臼で挽かれているような気さえする…

「増築する」 「え」 突然祖父がそんなことを言い出したので、私は咄嗟に「どこを」と聞き返していた。 そんなの自分の家に決まっているだろうに。 「そんなの自分の家に決まってるだろ」 あれから半月が経った。 祖父は検査のために丸1日入院したものの、特…

厭だなぁ、と思った。 自分の部屋のカーテンを開けたら、墓が見えた。ごく普通の感覚なら、厭だと思うのは普通なのだろうが、部屋がなんとなく薄暗いせいか、それとも少し古めかしいせいなのか、普通とは違う異質な嫌悪感が這い上ってきた。 「これで全部か…