ことばの海

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日記1

耳の奥から、何かが住み着いているような異音がする。その音は耳ではなく、ひょっとしたら頭蓋の奥から響いてくる音のようにも感じる。私はペットボトルの水で喉を潤し、濡れた唇を拭った。左の指先から鉄の匂いがする。温くなった液体が、胃の中に滑り込んでいく感覚は、思ったよりも不快だった。

 「サビからちょっと走り気味になってるな。もう一回やってみよう。」

 休憩明け、バンドリーダーの先輩がギターのボリュームを調整しながら言った。私が、本番はもっと走りやすくなりますからね、といった頃にはメンバー全員の準備が整っていた。再度演奏が始まる。曲が進むにつれ、メンバーの熱が高まってくると、意図せずテンポが速まってくる場合がある。それが「走る」と言われるものだ。

 音楽を初めて約半年、時間の大切さというものを知った。いや、大学生になり、自分の行動をある程度自分で考えることができるようになってからだろうか。何かをするためには、何かを辞めなければならない。分かっていたことではあるが、やはり実体験が絡んだ教訓は身に沁みる。

 「いい感じじゃない。」

 ドラム担当の娘の言葉は、今のメンバーの総意を表していた。

 「じゃ、今日は終わり。お疲れ。」

 スタジオのロビーには、たばこの煙が充満していた。部屋の端に設置された喫煙スペースからできるだけ遠い位置に陣取る。会計を終えた先輩から、昼ご飯に誘われた。

 このスタジオには、様々な人々が集まってくる。年代も様々で、一体その人々がどのような生活をしているのか気になる。彼らはどのような時間の流れを構築し、どのような時間の流れの中に生きているのだろうか。最近そのようなことばかり考えている。他人が、どのような時間に生きているか、気になって仕方がない。この先輩はどのような時間を過ごしているのだろうか。昼ご飯を食べるついでに、聞いてみよう。