ことばの海

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ナンバーワンを目指さなくてもオンリーワンになれるのか?

先日、SMAPの解散が発表されました。国民的人気グループであり、その歌やメンバーの言葉に救われた方や勇気を貰った方はさぞ多いことでしょう。

さて、彼らの有名な曲に「世界に一つだけの花」というものがあります。日本人なら一度は聴いたことがあるであろうこの曲。「ナンバーワンにならなくてもいい、元々特別なオンリーワン」という歌詞は「1番になろうとして争う必要はない、自分自身の独自性があるからいいじゃないか」という意味が込められています。(あくまで個人の見解です)とても素晴らしい歌詞だと思うのですが、ここでひとつ素朴な疑問が生じます。それがタイトルの「ナンバーワンにならなくてもオンリーワンになれるのか」ということです。

一見するとナンバーワンとオンリーワンは異なるもののように思えます。ナンバーワンというと、誰か他の対象と争って、勝ち取ったものだというイメージがあり、オンリーワンというと、自分の個性を伸ばして、争うことなく得られるものというイメージがあるからです。勿論SMAPさんの歌詞は、それを念頭に置いて組み上げられたものだと思うので、それはそれでいいとは思うのですが、現実の世界ではそう簡単に行くのだろうか…という事なのです。

「ナンバーワン」と「オンリーワン」にはある共通点が存在します。それは、両方とも

他人から自分が認められる事によって成立する

という事です。ナンバーワンについてはイメージしやすいかと思います。オリンピックなどで金メダルを獲る、つまりナンバーワンの選手は審判や観客、あるいは他の出場選手達から認められることで初めて、ナンバーワンの地位を不動のものとします。オンリーワンについても同じ事が言えます。いくら自分で自分の事を、独自性があって他の人とは違うと思っていても、自分に関わる全ての人が、何処にでもいる替えがきく凡庸な人間だと評していたとしたら、それはオンリーワンの人間ではなく、オンリーワンだと錯覚している勘違い野郎に成り下がります。SMAPの曲においても、メンバーが聴く人に向けて「君たちはオンリーワンなんだよ」と認める事によって、このオンリーワンが成り立っていることが分かります。この事からどちらも、他者から認められることで成立するということが理解して頂けたかと思います。

では、ナンバーワンとオンリーワン、このふたつの決定的な違いは何でしょうか。私は「規模の差」がこの重大な役割を担っていると考えます。他人から認められる。このことは簡単であり、また難しくもあることです。この世の中には様々なタイプの人がいて、その数だけ他人に求める要素や、尊敬、感動するポイントが存在します。その中から比較的大部分の人が持つ価値観に当てはまった者が「ナンバーワン」。ごく少数でありながら、極端に言えば一人でもその価値観に認められれば「オンリーワン」となるのです。例えば

「俺が思うに、あいつの技術はナンバーワンだよ」

と、誰か一人が他人を認めたとします。

字面だけではその認められた人はナンバーワンですが、さて、冷静に考えてみるとナンバーワンではありません。これは誰かが自分の中で、他人をかけがえのない存在、あるいは最も素晴らしいという存在として認めたというだけで、これはオンリーワンに属されるのです。

と、ここまででナンバーワンとオンリーワンは紙一重ということが分かりました。ということで、漸く本題についてです。まずは、もう一度オンリーワンについて考えてみる必要があります。オンリーワンとは、自分の独自性、個性が他人に認められて成立します。すなわち、自分以外の誰かに自分の長所を認めてもらわなけれならない、あるいは短所を持っていてもそれを許せるほど他の要素を磨くという必要があります。自分の中の何かの要素を伸ばす。そしてそれも他の人と差異をつけていかなければなりません。つまり、ナンバーワンを目指さなくてはならないのです。ナンバーワンはオンリーワンの延長線上に存在するのです。必然的に、そこには他人との衝突や軋轢、妬みや挫折がついて回ります。自分はオンリーワンですらないのではないか…そんなことが何度も頭をよぎります。

しかしながら、あなたの周りには、あなたをかけがえのないオンリーワンだと思っていてくれる人が居るはずです。それが救いの光です。その人こそが、自分自身のオンリーワンを証明してくれるのです。そしてその人は、逆に言えば自分にとってのオンリーワンになっていることでしょう。

 

 

と、何となく綺麗事で纏めてしまいました。自分のために他人を大切にする。そういう関係があったって良いと思うのです。

 

 

読んでくださいましてありがとうございます。

次回も、よろしければ、是非。